*We encourage anyone who is not proficient in the language in which the following text is written to use translation services, apps, or AI generative tools that are available on the internet.
2025年11月に京都・滋賀で開催した「Circular Design Week 2025(CDW 2025)」は、多くの方々のご参加とご支援のおかげで、大きな学びと新たな問いに満ちた時間となりました。改めて、参加者・登壇者・ローカルパートナー・サポーターの皆様に、深く感謝申し上げます。
CDW 2025を通して感覚を研ぎ澄ましたのが「時間」に対する感覚でした。私たちの日々の思考や行動の多くは、現代に浸透する「クロノス時間(時計時間)」に支配されており、それによって生み出される経済価値は近代的なリニア経済を維持してきました。しかしながら、クロノス時間に支配された経済活動は、関係的な時間感覚に基づく多様な営みを切り捨ててきたともいえます。私たちが循環型の経済モデルを実現しようとするとき、こうした価値観の前提を覆す「カイロス時間(主観的で質的な感覚に基づく多元的時間)」に向き合い直すことが、重要な試みになるのです。
今回のCDWでは、クロノス時間から一歩距離を置き、微生物や動植物、地形、建造物、インフラ、機械など、「人間以後」の風土を織りなす無数の存在がもつ多元的な時間と調息(attuning)することが目指されました。
イベントから数ヶ月が経った今、アーカイブサイトの公開、アフタームービーのリリース、そして「振り返りの会」の開催と、CDW 2025はその問いを次のフェーズへと引き継いでいます。このニュースレターでは、それらの近況をまとめてお届けします。
📁 CDW 2025 アーカイブサイト公開 / Archive Site Now Live
CDW 2025のアーカイブサイトを公開しました!
🔗 https://cdw.re-public.jp/2025/archive/
サイト内では、フィールドワークおよびカンファレンスの各セッションのレポート記事に加え、フィールドワークで用いた「感応メソッド」のリサーチガイド、会場で展示したブックレットのデータなどを公開しています(一部ダウンロード可)。ぜひお手隙の際にご覧ください。
また今回は、「AIが日常化しつつある今、アーカイブはどうあるべきか?」という問いのもと、2つの新たな試みを実装しました。
① Generative Archive(ジェネラティブアーカイブ)
近代的な「時計時間」から離れ、風土の「多元的な時間」に息を合わせる「調息(attuning with)」という概念です。 人間、生物、大地、そして人工物……。あらゆる存在の間で立ち上がるリズムに身を委ねる、その共創的なプロセスをその多声性を残したまま形にするため、従来の記録の枠を超えた「Generative Archive(GA)」を構築しました。
GAの設計において特に意識したのは、参加者一人ひとりの立場性(positionality)と、そこから生まれる時間の差異をいかに残すかという点でした。LINEを用いた「Reflection Notes」というツールの設計を通じ、参加者がフィールドワーク中にSituation・Event・Affect・Insightという四つの入口からリアルタイムに内省を記録できる仕組みに。収集されたテキストや画像データを NotebookLM に集積することで、一人のキュレーターが編集した均質なアーカイブではなく、複数の視点が共存する「ポリフォニックなアーカイブ」を実現しました。
Generative Archive はこちらでお試しください(26年12月末まで公開予定):
🔗 https://notebooklm.google.com/notebook/8d3451b7-de27-4b40-aa98-42c3f40bd2cb
この試みの背景については、こちらのコラムをぜひご一読ください:
コラム1:多元的な時間をどう集め、どう残すか–––「Reflection Notes」と「Generative Archive」の試み
🔗 https://cdw.re-public.jp/2025/archive/fieldwork-06/
② アーカイブ全文の一括ダウンロード機能 / Full-text Bulk Download
生成AIの普及に伴い、情報の受け取り方は多様化しています。本サイトでは、掲載されている全テキストを機械可読な形式(.txt / .pdf)で一括ダウンロードできる機能を実装しました。AIを使ったアーカイブの読み方は、それぞれのポジショナリティによって異なるはず。この点は、CDW 2025のサブテーマであった立場性にも通じる問いです。ぜひ皆様それぞれの視点でご活用ください。
🎬 アフタームービー公開 / After Movie Release
CDW 2025のアフタームービーも公開しました!京都・滋賀での学びの過程や生まれた新たな問いや気づきの断片を、ぜひ映像でお楽しみください。
🗣️ 振り返りの会ミニレポート / Reflection Session Mini Report
「目に見えないモノ」と調息するデザインリサーチの方法論 2026年2月26日(木)18:30–20:30 於:東京
CDW 2025のフィールドワークとカンファレンスを振り返り、参加者の実践と思考をさらに深める場として「振り返りの会」を開催しました。登壇者は、CDW 2025の企画・運営を担った弊社リ・パブリックの増井に加え、実際にCDWにご参加いただいた日立製作所の中村優花さん、Takramの菅野恵美さん、JT D-LABの廣瀬理子さんの3名。それぞれの視点から、感応メソッドの体験と、その先に見えてきた問いを共有しました。
感応メソッドとは何か
まずは、事務局よりCDW 2025のプログラム概要と「感応メソッド」の設計思想を共有しました。感応メソッドは、本プログラムのコラボレーターであるSarah Pink氏が専門とする「ビジュアル/センサリーエスノグラフィー」と赤間陽子氏の専門である参加型デザインの手法を土台に、儒教の教えである「感応一理」を組み合わせたオリジナルのリサーチ手法です。フィールドワーク前の「玄関メソドロジー」(今回は月桂冠の「おひたき祭」)によってクロノス的思考をほぐし、フィールドではMaker・Watcher・Askerの役割分担のもと、場と身体を通じた感応を探りました。目的は「多元的時間へのアクセス」ではなく、他者との「調息(attuning with)」を通じて多元的時間を共生成(sympoiesis)すること。この中動態的な関わりの性質が、メソッドの核心です。
感応メソッドについてより詳しくはこちらの記事もご覧ください:
CDW2025フィールドワーク調査手法
🔗 https://cdw.re-public.jp/2025/archive/fieldwork-01/
参加者3名による振り返り:フィールドで得られた気づきと今後に向けた問い
中村優花さん(日立製作所)
お火焚き祭の最中に「自分はパソコンやスマートフォンと同じ息遣いで仕事をしていた」と気づいた瞬間を語った中村さん。亀岡のフィールドでは、天然砥石を身体で感じる体験や、戦国時代から現在に至る多層的な時間が重なり合う場の体験を通じて、言語化できない感覚の確かさと、それを他者と分かち合うことの難しさを実感したといいます。一方で、フィールドワーク後に社内で体験を共有しようとしたところ、「体験しないとわからない」という壁にも直面。生成AIには処理できない「フィールドでの身体感覚」こそが、これからの人間の差別化につながると述べました。
菅野恵美さん(Takram)
菅野さんは、デザインの「短期合理性の加速」への自己批判から参加を決定。砥石館での包丁研ぎを通じて「石と私が一体化している気すらする」という体験を経た菅野さんは、感応メソッドが従来のデザインリサーチとは根本的に異なることを確認。そして最大の問いとして、「カイロスとクロノスを組織的に往復する『装置』はデザインできるのか」を提起しました。感応メソッドはカイロスへの入口を提供するが、日常業務への持ち帰り方・組織としての実践方法はまだ設計されていない。この問いは会場全体の議論へと広がりました。
廣瀬理子さん(JT D-LAB)
「暮らしの風景を耕すことが新しいラグジュアリーである」という投資仮説のもと、感応メソッドを「カイロスな投資指標」として活用できるのではないかという問いを持って参加した経験を話してくださったのは、JT D-LABの廣瀬さん。Maker・Watcher・Askerの役割が、自身が設計してきたSense「感じる、よろこび」、Roots「深める、よろこび」、Involve「関わる、よろこび」という3指標と高い親和性を持つことを確認。さらにCDWを通じて、「産地を消費する」のではなく、「産地の自律性を守りながら、その自然資本・文化資本をエコシステムとして再生させ続ける投資」という視点へのアップデートが生まれたと語りました。
パネルディスカッションから:クロノスとカイロスの「共存」
登壇者間の議論では日常生活や業務に戻るにあたり、自身を「クロノスに戻さなければならないのか、あるいはクロノスとカイロスの両方を共存させるべきか」という問いが深掘りされました。中村さんは「無理に戻さなくてもいいが、企業に所属する以上、感応で得たものを削ぎ落とさずに丁寧にクロノスへ持ち帰る必要がある」と述べ、菅野さんは「往復できる装置なしには全体感は変わらない。これは社内政治ではなくデザインの問題」と強調。廣瀬さんは「クロノスの言語を使いながら、カイロスの豊かさをそこへ引っ張ってくる」姿勢を示し、ミヒャエル・エンデの『モモ』の世界になぞらえながら、両者の共存のあり方を語りました。

🇻🇳次回のCDWは9月のシルバーウィーク、ベトナムで開催 / CDW 2026 in Vietnam coming this September!
次回のCDW 2026は、RMIT University ベトナム校との共催のもとベトナムで開催予定です。「Vietnam Festival of Creativity & Design」との同時開催となり、メコンデルタでのフィールドワーク、ホーチミンでのカンファレンスを予定しています。テーマの方向性は「テクノロジー」や「多様なスケールの生産」。少数民族のクラフトからマスプロダクションまでを射程に入れた探究となる見込みです。開催時期は2026年9月21日週(シルバーウィーク)。詳細は続報にてお知らせします。
CDW 2026 is planned to be held in Vietnam, in co-organisation with RMIT University Vietnam, during the week of 21 September 2026. The event will take place alongside the Vietnam Festival of Creativity & Design, with fieldwork in the Mekong Delta and a conference in Ho Chi Minh City. The thematic direction will explore “technology” and “production at diverse scales” from the crafts of ethnic minorities to mass production. More details to follow.
✉️ 詳細は5月のニュースレターにて/ More details coming in May!
5月に発信予定のニュースレターにて、各日の詳細なプログラム、登壇者、参加方法などをご案内いたします。ご関心のある方は日程を確保のうえ、続報をお待ちください。
🌿CDW2026 in Vietnam ご協賛のお願い/ Call for CDW Supporters
CDW2026サポーターとして本イベントに協賛してくださる企業を募集いたします。サポーター企業の皆様へは、より一層サーキュラーデザインへの理解とネットワーキングを深められる特典を多数ご用意する予定でおりますので、ご関心のある方は cdp$re-public.jp ($を@に置き換えてください) までご連絡ください。









